CAST配役

バレエマスター(ゲスト)
ウラジミール・マラーホフ

ヤーナとディヌが、私の敬愛する悦子さん率いる東京シティ・バレエ団の創立50周年記念公演に出演することを非常に喜ばしく思います。二人はベルリン国立バレエ団で、私が芸術監督を務めていた頃から研鑽を積んできた、才能溢れる芸術家です。
東京シティ・バレエ団と二人の素晴らしいダンサーが創り上げる芸術性に、日本の皆様も目を見張ることでしょう。
この舞台はきっと皆様にお楽しみいただけると、確信しております。

It is with great pleasure that Iana and Dinu, both of whom are very talented artists and had their beginnings with me in Berlin, will be performing at the 50th Anniversary performance of the Tokyo City Ballet headed by my dearest friend Etsuko Adachi.
I hope that the performance will be an eye opener for audiences of Japan because of the artistry of the company and these two incredible performers.
I am sure that the audience will be highly entertained with the performance.

3月3日(土)・6日(火)公演
オデット / オディール
<Iana Salenko>
ジークフリード王子
<Dinu Tamazlacaru>

ベルリン国立バレエ団で芸術監督をしていた頃は、才能ある若いダンサーの発掘が使命であると同時に、楽しみでもありました。お客様にクラシックバレエからコンテンポラリーまで幅広いラインナップを提供すべく、カンパニーのレパートリーを広げ、変えていけるような人材を求めていました。バレエから学びを得ることができ、それをまたバレエへと昇華させる力を秘めていることが、私の判断基準の一つでした。

数多のダンサーの中から、幸運にもヤーナ・サレンコという逸材を見つけました。ウクライナ出身の彼女は、天性の音楽センスと演技力に恵まれ、優れた身体能力を備えていました。今や各国の舞台で活躍する、世界で最高レベルのダンサーの一人と言っても過言ではないでしょう。ヤーナは舞台に立つために生まれてきました。演技には非の打ちどころがなく、優雅かつダイナミックに踊ります。彼女のようなかしこく練習熱心なダンサーが、世界で絶大な人気を誇るバレリーナへと成長する過程を、歳月とともに様々な役柄を通し、間近で見守ることができたのは非常に光栄なことでした。ヤーナは、近年ゲストアーティストを務める英国ロイヤル・バレエ団の観客からも好評を博しています。

モルドバからオーストリアを経て私の元へやって来た、ディヌ・タマズラカルにも同じことが言えます。ディヌもまた、知的で才能に溢れ、役作りにとても熱心に取り組みます。彼はどんな役にも、幅広い解釈力と表現力を発揮します。非常に謙虚なところも魅力で、コール・ド・バレエから着実に経験を積んでソリストへ昇格し、評価を築きました。パ・ド・ドゥにおいては、パートナーに繊細に寄り添い、美しくまとめ上げる手腕があります。そんなディヌとヤーナのパ・ド・ドゥは、日本の皆様にとってきっと忘れ得ぬものになると確信しております。

二人のパフォーマンスはいつ観ても素晴らしく、強い感動が心に残ります。彼らのような天才的なダンサーのパフォーマンスを幾度となく見守ってこられたことは、私にとっては光栄としか言いようがありません。

文:ウラジミール・マラーホフ(バレエマスター)
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  • オデット / オディール [3/3・6]
    ヤーナ・サレンコ <Iana Salenko>
  • ジークフリード王子 [3/3・6]
    ディヌ・タマズラカル <Dinu Tamazlacaru>
3月4日(日)公演
オデット / オディール
<Rie Nakamori>
ジークフリード王子
<Kim Se-Jong>

恵まれたスタイルを持つダンサーは多くいますが、なかでも中森理恵とキム・セジョンは、共にバレエを踊るために生まれてきたと言っても過言ではないでしょう。

私は、当初から中森の持つ美しいラインと、コツコツと稽古に励む姿に注目しておりました。入団直後に、モナコのプリンセス・グレース・バレエ・アカデミーに短期留学し、同アカデミーの発表会に出演するなどの経験も積み、3ヵ月という短い期間のなかで、大きく成長して戻ってきました。帰国後は、コール・ド・バレエとして様々な作品に出演し、入団翌年の『白鳥の湖』では四羽の白鳥に抜擢。その後もソリストとして主要な役を踊りながら着々と研鑽を積み、2014年『ロミオとジュリエット』で主演デビューしました。以降、『ジゼル』『コッペリア』『白鳥の湖』に主演しています。

キム・セジョンは、韓国ユニバーサル・バレエでドゥミソリストとして経験を積み、日本に活躍の場を移しました。彼を初めて見た時、溌剌と踊る一方、ふとした時に漂う気品に驚きました。もちろん、すぐに主役に抜擢し、2012年、中島伸欣振付の『ロミオとジュリエット』で主演デビューとなりました。

奇しくも『ロミオとジュリエット』で主演デビューした二人は、恵まれた身体能力と素質を持ちながらも、努力を忘れない、という部分も共通しています。今回の公演までに多くの全幕バレエに主演し、2年前に上演した『白鳥の湖』でもパートナーを組んでいます。

これまでの経験で、この作品に対する理解は充分深めてきていると思っています。今回は、音楽をどのように感じ、全身に通すか、また、役柄としてどのように解釈し、表現するかをこれまで以上に深め、追求し続ける事が、彼らに与えられた最大の課題です。

ヤーナとディヌからも多くを学んでほしいと思います。今まで培ってきた事が、役柄となって舞台上でどのような輝きを魅せてくれるか、楽しみにしています。

文:安達 悦子(芸術監督)

  • オデット / オディール [3/4]
    中森 理恵 <Rie Nakamori>
  • ジークフリード王子 [3/4]
    キム・セジョン <Kim Se-Jong>

※二上 史生は、怪我のため降板いたしました。
※出演者および配役は変更となる場合がございます。

During my tenure as Intendant of the Staatsballett Berlin I had the task and enjoyment of searching for young talented dancers that would enhance the company and allow me to widen the repertoire in order to give our audiences a large variety of classical ballets as well as contemporary choreography. One of my criteria was to look for dancers that had a potential to grow from ballet to ballet.

My search was very rewarding and amongst the dancers I was fortunate to find was Jana Salenko. Jana came from the Ukraine. She is endowed with unique physical capabilities as well as being born with a natural ability for musicality and interpretation. She is perhaps one of the world’s most academic dancers adorning the stages of many countries at the present time. Jana was born for the stage and appears to show no nerves when she performs, which gives each dance she performs grace and dynamics.

It was with great pleasure that I was able from year to year, from role to role observe and accompany this highly intelligent and disciplined dancer grow into a ballerina that is in high demand worldwide. She is a favourite of audiences of the Royal Ballet where she presently a guest artist.

Much of the above can also be said of Dinu Tamazlacaru who came to me from Moldavia via Vienna. Dinu also is highly intelligent, talented and works with extreme diligence when he prepares himself for a role. He is very versatile in his interpretation and execution of any piece he dances. He is very modest and this is a strong attribute. He was willing to literally work his way into the solo ranks dancing in the corps de ballet and advancing up the ladder of recognition. Dinu is a sensitive partner on stage, who becomes an entity with his female counter part thus giving a highly esthetical holistic interpretation to each pas de deux they perform. I am convinced that the audiences that will watch this extraordinary couple perform in Japan will experience performances that they will never forget. I can only say for myself that I had the honour of observing these two gifted dancers perform countless times and each time was unique and left a strong impression in my heart.

バレエマスター(ゲスト)
ウラジミール・マラーホフ

ウクライナのクルィヴィーイ・リーフ出身。4歳でバレエを始め、10歳でボリショイ・バレエ学校に入学。ピョートル・ペストフ氏に学び1986年卒業、モスクワ・クラシック・バレエ団に最年少プリンシパルとして入団。1992年ウィーン国立歌劇場バレエ団、1994年カナダ国立バレエ、1995年アメリカン・バレエ・シアターでプリンシパルとなる。1996年シュツットガルト・バレエ団ファーストソリストとなる。
1986年ヴァルナ国際バレエコンクールジュニアグランプリ、1989年モスクワ国際バレエコンクール金メダル。
2002年ベルリン国立歌劇場バレエ団の芸術監督に就任。2004年、同団ほか2つのバレエ団が統合しベルリン国立バレエ団が創立、芸術監督に就任。2013-14年シーズンをもって退任後、2014年8月より東京バレエ団のアーティスティックアドバイザーに就任。
日本をはじめオランダ、イタリア、ロシア、フィンランド、ポーランド、スロバキア、アメリカ、オーストラリア、イスラエル、キューバ、オーストリア、ドイツ、ギリシャ、ウクライナなどでゲストアーティストとして活躍。『白鳥の湖』『ジゼル』『ロミオとジュリエット』、『ナルシス』(K・ゴレイゾフスキー振付)、『ヴォヤージュ』(R・ツァネラ振付)、『レマンゾ』(N・ドゥアト振付)などを踊る。
振付家としては、『ラ・ペリ』『ラ・バヤデール』『眠れる森の美女』『シンデレラ』『白鳥の湖』などの改訂演出・振付を手掛ける。

オデット / オディール [3/3・6]
ヤーナ・サレンコ <Iana Salenko>

ウクライナ・キエフ出身。1999年ドネツィク・バレエ団(ウクライナ)にて16歳で最年少プリンシパルを務める。2001年キエフ・バレエでプリンシパルダンサーとなり、2007年よりベルリン国立バレエ団でプリンシパルダンサーを務め『シンデレラ』『眠れる森の美女』(V・マラーホフ振付)、『眠れる森の美女』(N・ドゥアト振付)、『くるみ割り人形』(P・バール振付)、『オネーギン』『ロミオとジュリエット』(J・クランコ振付)、『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』(G・バランシン振付)、『ラ・シルフィード』(P・ショーウーズ振付)などを踊る。2013年ロイヤル・バレエ団『ドン・キホーテ』(C・アコスタ振付)に主演以来、同団のゲストプリンシパルとして客演を重ね、2017年は『ダイヤモンド』(G・バランシン振付)に出演。
2002年セルジュ・リファール国際バレエ・コンクール金賞、ディアギレフ賞、2004年ウィーンOTRコンテスト金賞、アラベスク・バレエ・コンペティション金賞、ナタリア・マカロワ賞、ヴァルナ国際バレエコンクール3位、2005年ヘルシンキ国際バレエコンクール金賞、名古屋国際バレエコンクール金賞。2012年、2014年、2016年と国際バレエフェスティバル・ダンスオープンで踊り、称賛を浴びる。2016年イタリアの雑誌「Danza & Danza」で年間女性ベストダンサーに輝く。
イタリア、ドイツ、ロシア、スロバキア、スロヴェニアなど、世界各国でゲストアーティストとして活躍。

ジークフリード王子 [3/3・6]
ディヌ・タマズラカル <Dinu Tamazlacaru>

モルドバ・キシナウ出身。モルドビアン・バレエスクール、Ballet Conservatorium of Vienna(オーストリア)で学ぶ。2002年ウラジーミル・マラーホフ氏の推薦で、ベルリン国立バレエ団の前身であるベルリン国立歌劇場バレエ団に入団。ソリストとして経験を積み、2012年よりプリンシパルダンサーとして活躍。『白鳥の湖』(P・バール振付 / プティパ振付)、『ドン・キホーテ』(プティパ振付 / デレヴィヤンコ振付 / グリゴローヴィチ振付 / メッセレル振付)、『ロミオとジュリエット』(J・クランコ振付 / P・バール振付)、『オネーギン』(J・クランコ振付)、『くるみ割り人形』(P・バール振付 / グリゴローヴィチ振付 / メドヴェージェフ&ブルラーカ振付)ほか多くの作品に主演。ネオクラシックやモダン作品も得意とし、W・フォーサイス、M・ビゴンゼッティ、M・ゲッケ、R・プティ、M・ベジャールなどの作品に出演する。
2001年Australian ballet and dance contest金メダル、2002年ペルミ・アラベスク国際バレエコンクール金メダル、ローザンヌ国際バレエコンクール金メダル。2012年演技力を評価され、あらゆる芸術家を対象とするドイツの権威あるDaphné賞を受賞、ダンスオープンではMr Expressivityに輝く。2016年レ・マンフレディ名誉賞(イタリア)。
イタリア、日本、フランスをはじめ世界各国で主演ゲストを務める。

オデット / オディール [3/4]
中森 理恵 <Rie Nakamori>

SAYAMA CITY BALLET ACADEMYにて吉沢真知子に師事。8歳より1年間CHICAGO SALT LAKE BALLETで学ぶ。2009年第12回NBA全国バレエコンクール高校生部門第2位の1受賞、スカラシップでモナコのプリンセス・グレース・バレエ・アカデミーへ短期留学。同年東京シティ・バレエ団に入団し、『白鳥の湖』四羽の白鳥に抜擢される。平成24年次代を担う子どもの文化芸術事業体験事業『コッペリア』スワニルダで初主演。以降『くるみ割り人形』クララ、『ジゼル』ペザント、『白鳥の湖』パ・ド・トロワ、『ベートーヴェン交響曲第7番』(ウヴェ・ショルツ振付)ソリスト、『オクテット』(ウヴェ・ショルツ振付)などを踊る。14年『ロミオとジュリエット』でグランドバレエ初主演以降、『ジゼル』『白鳥の湖』『コッペリア』『くるみ割り人形』に主演。

ジークフリード王子 [3/4]
キム・セジョン <Kim Se-Jong>

韓国カンウォン国立大学バレエ学部舞踊学科卒業。2002年韓国バレエ協会男子クラシックバレエ部門にて大賞受賞。05年韓国ユニバーサル・バレエ団入団。ドゥミソリストとして多くの作品に出演。在団中に06年韓国舞踊協会新人舞踊コンクールバレエ部門男子第1位受賞。07年韓国舞踊協会新人舞踊コンクールバレエ部門男子特賞受賞。09年韓国バレエ協会新人賞バレエ部門銀賞受賞。10年に同団を退団し、翌年東京シティ・バレエ団入団。12年『ロミオとジュリエット』にて初主演。以降『ジゼル』、『ベートーヴェン交響曲第7番』(ウヴェ・ショルツ振付 / 日本初演)、『コッペリア』『白鳥の湖』、『くるみ割り人形』、『死と乙女』(レオ・ムジック振付)などで数多くの主演を務める。