Octet

Octet

振付
ウヴェ・ショルツ
UWE SCHOLZ

『Octet』の音楽

「弦楽八重奏曲」変ホ長調 Op.20は、F.メンデルスゾーンが16歳のときに作曲した室内音楽。古典的な完成度の高さから習作と称される。

<構成>

第一楽章:アレグロ・モデラート・コン・フォーコ Allegro moderato con fuoco
第二楽章:アンダンテ Andante
第三楽章:「スケルツォ」。アレグロ・レジェリッシモ Scherzo: Allegro Leggierissimo
第四楽章:プレスト Presto

『Octet』とは

『Octet』は喜びにあふれた作品で、メンデルスゾーンの音楽の質を表現しています。
第1、第4楽章ではコール・ド・バレエとソリストが交差して、美しい姿を見せ、第2楽章は一組の男女の関係を、第3楽章は4人の男性の間の友情を表現しています。そこにはウヴェ自身の創作、振付をする喜びも表れています。

オーケストラを例に。『Octet』で用いられる楽器は8挺だけです。バイオリン4挺、ビオラ2挺、チェロ2挺ですね。
指揮者の視点で考えると、メンデルスゾーンではわずか8人です。
これはバレエにおける重さの違いでもあり、ウヴェ・ショルツの天才的、驚異的な点とは、まさにそこで、演奏の質の高さは同じでなければなりません。どちらの作品でも、振付の質はとても重要なものになります。ウヴェ・ショルツの振付は演奏家とダンサーの質を表現している、と言えるでしょう。

より音楽的な作品に仕上げようと努めています。いかにダンサーが音楽をよく聴き、ダンスの中に何かしら異なるカラーを出せるようにするか、ということです。ダンサーたちには自分たちの技術を表現することにとどまらず、踊ることを楽しんでほしいと思います。

作品に見えてきているのは、踊ることの喜びと幸福感です。単に踊るだけでなく、踊っているときの1秒1秒全てに気を配ってほしい。衣裳、全てのステップなど、あらゆる点に気を配ることで最終的には喜び、幸福感を伝えることになります。観客はそうした舞台から全力のエネルギーを受け取ることになると思います。

- ジョヴァンニ・ディ・パルマ Giovanni di Palma -2016年「ダブル・ビル」インタビュー、2017年「TOKYO CITY BALLET LIVE」インタビューより抜粋

『Octet』とは

Octetは私の人生の中で、初恋のような楽しい思い出の一つです。その時間はとても特別な贈り物:私は生きている中で一番幸せでした!

ウヴェは、楽器が音楽を表現するように、ダンスを通して動きを“歌う”ことができました。音楽の中の感情を表現する彼のクオリティーはとても純粋でした。彼はダンスの境界線を押し広げようとし、私はリスクを冒して自分が思っていた以上のことができるようになることを学びました。このソロでは何よりも、きらめく喜びと幾多の動きが炸裂していました。

パ・ド・ドゥは、動きによる詩的な表現の質を持っていました。テクニックではなく、存在感、脆弱性、感情を動きで表現することが重要であり、それこそがウヴェの感動的な表現だと思いました。最後のお別れの場面は、象徴的に“あなたはこの世を去ったが、人生は続く”と伝えているようでした

- クリスティン・ジャロシェフスキが語る“Octet” Christine Jaroszewski on “Octet” -

▶ 『Octet』の振付

バレエミストレス(ゲスト)
木村 規予香
Kiyoko Kimura

<PROFILE>
マリカ・ベゾブラゾヴァに師事し、モンテカルロ王立バレエ学校に留学。?ローザンヌ国際バレエコンクールにてプロフェッショナル賞を受賞し、フランクフルト・バレエ団に入団。その後、シュツットガルト・バレエ団に入団しソリスト契約を結ぶ。在団中、クランコ、ベジャール、ノイマイヤー、エック、キリアンなど著名な振付家の作品を数多く踊る。?1998年冬季長野オリンピックの開会式イベントにてプリンシパルとして踊る。ライプツィヒ・バレエ団へ移籍後、プリンシパルとして活躍し、現在は日本で「k2バレエ空間」を主宰している。