Air!

ガブリエレ・ブランドステッターによる紹介、ヴォルクマル・ドレーガーによる作品分析、アーティストへのインタビューを含む、ウヴェ・ショルツの作品に関する初の出版本。
著:Nadja Kadel・Kati Burchart

”Ihis Air! Was like a flight for Uwe. Once he said: "This is like one level; there are no ups and downs; there is no movement which disturbs this. It is as if you are taking a deep breath and then continuously exhaling."

Christine Birkle on "Air!"

"このAir!は、ウヴェにとっては 「飛翔」のようなものでした。 彼は言いました。 "これは一つのレベルのようなもので、上がったり、下がったりする動きがなく、これを妨げるような動きもない。"まるで深呼吸をして、息を吐き続けるような感覚だ"

クリスティーヌ・ビュルクレが語る "Air!"

『Air!』Choreography

 In front Of a bright background two leading couples and four group couples begin a sometimes lively game of the sexes. To the sound of festive trumpets they form a row that pivots around the centre. The dancers individually fall out of the row and move into a shoulder-stand. The first part (Overture) finishes after various formations, for instance, the “star”, with the men going down into the splits and the women bourréeing.

 明るい背景の前で、主役の2組のカップルと4組のグループカップルが、時折賑やかな男女のゲームを始めます。お祝いのトランペットの音に合わせて、ダンサーたちは中央を中心にピボットする列を作ります。ダンサーたちは一人ずつ列から抜け出し、ショルダースタンドをする。
 第1部(序曲)は、例えば『スター』では、男性はスプリットに、女性はブーレのように、様々なフォーメーションを経て終わります。

 The slow second part (Air) is danced by the two leading couples, intricately interwoven and sometimes synchronic. They execute flying, looping and spinning figures. In addition, the man lifts his partner’s leg in the attitude position. To finish, the woman moves into a backbend from this delicate and the man supports her, kneeling.

ゆっくりとした第2部(アリア)は、主役の2人のカップルが複雑に絡み合い、時にシンクロしながら踊ります。彼らは、飛んだり、ループしたり、スピンをします。さらに、男性はアティチュードのポジションでパートナーの足を持ち上げます。終わりには、女性は、丁寧にバックベンドに移動し、男性はひざまずいて、女性をサポートします。

 In the third part (Gavotte) men and women form different couples and quartets, expectantly, watching one another. At the beginning and at the end there is a male quartet.

 第3部(ガヴォット)では、男性と女性は、お互いを見て、期待に胸を弾ませて、別のカップルやカルテットを形成します。最初と最後には男性のカルテットがあります。

In the fourth part (Bourrée) three women flirt with one man and at the end they simply abandon him.  
 
第4部(ブーレ)では、3人の女性が一人の男性と戯れ、最後にはその男性を捨ててしまいます。

The fifth part (Gigue) brings everyone together in a cheerful and relaxed game, gives the soloists the opportunity for virtuoso contributions, and ends with the pivoting row seen at the beginning. The row becomes a circle from which the dancers run Off to both sides with raised arms.

第5部(ジーグ)では、皆が陽気でリラックスしたゲームに参加し、ソリストにテクニックの見せ場を与え、冒頭に見られたピボットする列で終わります。この列は円になり、そこからダンサーは腕を上げて左右の袖へと走り去ります。

バレエミストレス

加藤浩子 Hiroko Kato

 私がウヴェ作品に関わらせて頂くのは、ベートーヴェン交響曲第7番に続き2作品目となります。最初にウヴェ作品を観た時の衝撃を今でもハッキリ覚えています。「目でみる音楽」と称される程、本当に音楽に忠実であり、音符ひとつこぼれることなく踊りに表現され、同じメロディが繰り返されれば踊りも繰り返され、それが心地よく、徐々に音楽と共に踊りが脳裏に焼き付いていきます。

 今回の『Air!』はウヴェが23歳の時に初めて振り付けた作品と聞き、驚きを隠せません。全体的にはとてもフレッシュな作品で、男女の可愛い駆け引きなども垣間見られ、青春謳歌なイメージの作品です。しかしながら、テンポの良いステップ、複雑なフォーメーション、印象的なポーズなど、ウヴェ作品らしい要素が凝縮されていて、この作品から枝が伸びて数々の作品が産まれ、実を成していったのではないかと感じます。

 初演からご指導にいらして頂いている、ジョヴァンニ先生には、ウヴェ作品の素晴らしさを、常に熱を込めて伝えていただいています。振付や、音楽の解釈、身体の使い方に至るまで、細かくご指摘頂き、私は密かにジョヴァンニマジックと呼んでいますが、先生の一言で、ダンサー達が息を吹き込まれたように、活き活きと踊り始めます。上手くいくと『SUGOーI !!』と、日本語で褒めてくださるのもダンサーにとってはご褒美なのではないでしょうか。

 今回、若いダンサーも多く配役されておりますが、ダンサー達にはその感覚を是非自分のものにして、観客の皆様に届くよう踊って欲しいと願っています。身体的にもとてもハードな作品ですが、全身から迸るエネルギーを感じて頂けたら嬉しいです。

『Air!』

音楽:J.S.バッハ 「管弦楽組曲第3番」ニ長調 bwv1068
衣裳製作:チャコット株式会社
初演:シュツットガルト・バレエ団(1982年)
バレエミストレス:加藤浩子
バレエマスター:中弥智博

第1楽章 松本佳織  馬場彩  新里茉利絵  石井日奈子  三好梨生  西尾美紅
玉浦誠  濱本泰然  土橋冬夢  杉浦恭太  渡部一人  西澤一透
第2楽章 佐合萌香  中森理恵
濱本泰然  土橋冬夢
第3楽章 松本佳織  石井日奈子  三好梨生  西尾美紅
玉浦誠  杉浦恭太  渡部一人  西澤一透
第4楽章 土橋冬夢
松本佳織  馬場彩  石井日奈子
第5楽章 松本佳織  馬場彩  新里茉利絵  石井日奈子  三好梨生  西尾美紅
玉浦誠  濱本泰然  土橋冬夢  杉浦恭太  渡部一人  西澤一透

※出演者は変更となる場合がございます。