19世紀ロシアでは、反皇帝派の勢力が強まり、表立って華やかな行事は行われなくなっていました。

帝室劇場総裁フセヴォロジスキーは、皇帝を勇気づける楽しい企画はないだろうか?と考え、華やかだったフランスのルイ14世の時代を元に、シャルル・ペローの「眠れる森の美女」を豪華絢爛なバレエ作品に仕立てることを思いつきます。

作中には、妖精たちや、赤ずきん、青い鳥などのキャラクターたちが登場するメルヘンの要素が加えられ、さらに豪華な衣裳と贅を尽くした舞台装置で再現される台本が書き下ろされたのです。

この台本は、二人の偉大な創り手に届けられ、バレエ作品として昇華していきます。バレエ・マスター、プティパが振付を細かく組み立て、テンポや小節数の詳細なプランを作り、それを作曲家チャイコフスキーが史上初めてシンフォニー形式で作曲し、芸術的価値の高いバレエ音楽へと変貌させました。

軍艦2隻分の制作費、3時間半を超えるバレエメルヘンとして誕生した「眠れる森の美女」。この大作は世紀を超え、今もなお世界中で愛され続けています。

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