誕生 ～始まりの予感～
国民の待ち望んだ世継ぎの王女が、フロレスタン国王に授けられた。洗礼式（命名式）を終え、王女はオーロラと名付けられた。
宮殿の広間では盛大な祝賀の宴が準備され、式典長のカタラビュットが招待名簿の確認などで、忙しく立ち働いている。国王一家の入場に続き、妖精たちがたくさん捧げものを持って次々に到着した。
それぞれの妖精たちがオーロラ姫に「純粋さ（優しさ）」「活力（元気）」「寛容さ（鷹揚さ）」「美声（美しい歌声）」「情熱（勇気）」の贈り物を捧げていった。最後にリラの精が贈り物をしようとしたまさにその時……突如、邪悪な妖精カラボスが現れた。
自分だけ宴に招待されなかったことに怒り狂ったカラボスは、オーロラ姫に呪いをかけると告げる。
「オーロラ姫は16回目（歳）の誕生日に、自らの指を刺して死ぬだろう！」そう言い放って、カラボスは去っていってしまった。
悲しみにくれる王と王妃に、リラの精はこう伝える。
「カラボスの呪いは強すぎて、完全に取り払うことは出来ません。ですが、ご安心下さい。カラボスの呪いが掛かる時、私が最後の贈り物を姫に捧げます。呪いを消すことは出来ませんが、姫が死ぬことはなく100年間の眠りにつくことになります。その100年が明ける頃、やってきた王子の口づけによって目を覚ますでしょう。」と……。
運命 ～100年の「眠り」～
オーロラ姫は美しく成長し、無事に16歳の誕生日を迎えた。
誕生日の宴には、4人の求婚者である王子たちが招き入れられていた。オーロラ姫は王子たちと楽しく踊り、彼らも求愛の証としてバラの花を姫にプレゼントしていく。
その直後、見知らぬ老婆がオーロラ姫に近づき、花束を手渡した。
花束を持ち楽しそうに踊るオーロラ姫。
しかし次の瞬間、花束の中に隠された糸紡ぎの針で指を刺してしまうのであった。
「尖ったものには気をつけなさい。」と忠告をされてきたにも関わらず……。
その場で崩れ落ちるオーロラ姫の側で、老婆に化けていたカラボスが邪悪な本性を明かし、恐れおののく賓客たちの前で、勝ち誇ったように笑いながら姿を消してしまう。
そこへリラの精がやってきて、王と王妃たちにこう告げる。「オーロラ姫は死んでしまうのではなく、今から100年の眠りにつきます。そして、あなたたちも共に100年の眠りにつくのです。オーロラ姫が目覚めるその時に、目を覚ますように。」
そう言ったあと、リラの精は城にいる全員に魔法をかけた。
こうして、オーロラ姫を皮切りに、王国も王国に使える者たちも皆、長い100年の眠りに着くこととなった……。
それはまるで、深い森の中で眠るかのように―。
試練 ～そして、目覚めのとき～
オーロラ姫とその王国が深い眠りに着いてから100年の月日が経った頃―。
隣国のデジレ王子は、お供の貴族たちを連れ近くの森に狩りにやって来た。
やがて時間となり皆は帰り支度を始めるが、デジレ王子は何故だかその場を離れがたく、他の者を先に帰してしまう。
すると突然、森の精とともにリラの精が現れ、驚く王子に美しいオーロラ姫の幻を見せた。
姫の美しさに魅せられた王子は一目で恋に落ち、リラの精にこう頼み込む。「オーロラ姫の元へ連れて行って欲しい」と。リラの精は王子の頼みを聞き入れ、彼をオーロラ姫が眠る城まで導くことにした。
長い月日によって太いツルが絡みついた城は、人を寄せ付けない場所になっていた……。
中から城を見張っていたカラボスとその手下たちが姿を現し、王子と対峙する。リラの精に守られたデジレ王子は剣を抜いて勇敢に戦い、カラボスとその手下たちを城から追い払い、ついに眠っているオーロラ姫を見つける。
オーロラ姫をみつけたデジレ王子は、改めて姫の美しさに見惚れ、ゆっくり近づき姫に口づけをした。
王子の口づけでオーロラ姫は100年の深い眠りから目を覚まし、城にいた全員が目を覚ます。王子を見てほほ笑む姫に、王子は愛を誓い、結婚を申し込んだのだった。
結婚 ～祝福の大団円～
オーロラ姫とデジレ王子の婚礼の支度は整い、祝祭の日に宮廷の人々や様々な妖精たちとおとぎの国の主人公たちが招かれた。
宝石と金銀の妖精の華麗な踊り（パ・ド・カトル）、長靴を履いた猫と白い猫の踊り、フロリナ王女と青い鳥（姿を変えられた王子）の踊り（グラン・パ・ド・ドゥ）、赤ずきんと狼の踊りが披露されたあと……。
オーロラ姫とデジレ王子の美しい踊り（グラン・パ・ド・ドゥ）でクライマックスを迎え、最後は、マズルカで締めくくられた。
オーロラ姫とデジレ王子は、リラの精に見守られながらめでたく結婚し、人々は妖精たちに愛と平和の感謝を込めて賞賛を贈るアポテオーズ（大団円）の中、物語は幕を閉じた―。
