第1場:ヴェローナの街の道
第2場:ヴェローナの街の広場~朝
第3場:ジュリエットの部屋
第4場:キャピュレット家の広間
第5場:バルコニー
北イタリア・ヴェローナの街では、勢力を二分する敵同士モンタギュー家とキャピュレット家との絶え間ない争いが繰り返されている。
この日も些細なことから、両家の当主を交えて大乱闘を始め、ついにヴェローナの大公は「平穏を乱すようなことがあれば、罰として双方に死刑を言い渡す」と宣言する。
その夜、キャピュレット家の一人娘ジュリエットは、彼女を妻に迎えたいというパリス伯爵と、キャピュレット家の仮面舞踏会で引き合わされることになっており、乳母とその準備に追われている。
一方、モンタギュー家の一人息子ロミオは、親友マキューシオとベンヴォーリオに誘われ、3人でこの舞踏会に潜り込む。
キャピュレット家の広間には、貴族が集まり、余興として旅芸人一座がダンスを披露している。忍びこんだロミオ達も余興を楽しんでいる。
ジュリエットは、婚約することになったパリス伯爵とダンスを踊っているが、ロミオと出会った瞬間、二人は恋に落ちる。それぞれが仇敵の家の生まれだと知るが、燃え上がる心を止めることができない。キャピュレット夫人の甥ティボルトにみとがめられ、ロミオ達は舞踏会を後にする。
その夜、ロミオはジュリエットの屋敷の庭に忍び込み、二人は恋の喜びを分かち合う。
皇帝派と教皇派の争いは、そのままモンタギュー家とキャピュレット家の争いにも発展してしまっている。そんな抗争の中、キャビュレット家の舞踏会でモンタギュー家のロミオとジュリエットが出会い、恋に落ちる。
第1幕前半では、街の道、街の広場と様々な場面で、事あるごとにキャピュレット家とモンタギュー家の両家に関わる大勢の人が争っている様子が描かれます。シンプル且つ、可動式の舞台美術の演出により、ダンサーの動きと相まってスピーディーに展開していきます。壮麗な舞踏会の場面でロミオとジュリエットが運命の出会いをし、恋に落ち、愛を誓いあう有名なバルコニーのシーンと、名場面が続きます。
第6場:ヴェローナの街の広場~午後
第7場:教会
第8場:街の広場
次の日、マキューシオとベンヴォーリオはいつものように街の広場で若い女やロマの踊子達をからかいながら、昼間から遊んでいる。ジュリエットのもとから戻ってきたロミオもそこへ加わる。
ロミオを探しに、ジュリエットの乳母が広場に現れ、「結婚式の準備をしてください」と記されたジュリエットからの手紙をロミオに渡す。
ロミオははちきれそうな喜びを胸に教会に向かい、ジュリエットと結婚式を挙げたいとロレンス修道士に頼む。ロレンス修道士は戸惑いを隠せないが、これが両家の和解のきっかけになればと引き受け、教会で落ち合った二人の結婚の儀を密かに執り行う。
その頃、街の広場では、ロマの踊子達が小競り合いをしている。いつしかキャピュレット家、モンタギュー家の若者たちも加わり、両家の争いへと発展しそうになっている。そこへティボルトが現れる。昨夜の仮面舞踏会でのマキューシオたちの非礼に、はらわたが煮えくり返っているティボルトは、マキューシオに決闘をしかける。教会から戻ってきたロミオは、既に親戚となったティボルトをなんとかなだめようと、決闘を止めに入るが、ティボルトはマキューシオを殺してしまう。友人の死を前にして逆上したロミオはティボルトを殺してしまう。
この事件を知ったヴェローナ大公は、ロミオに市街追放の処分を下す。
密かに結婚式を挙げたロミオとジュリエットだったが、ロマの踊子の小競り合いをきっかけに両家の争いへ。ティボルトがマキューシオを殺めてしまい、それに逆上したロミオがティボルトを殺してしまう。事件を知ったヴェローナ大公がロミオに市街追放処分を下す。
第1幕後半では、ロミオとジュリエットが中立の立場にいるロレンス修道士に頼み込み、二人だけの秘密の結婚式を挙げて束の間の幸せに浸ります。いつもの小さな小競り合いが決闘にまで発展し、一つの悲劇から、ロミオがもう一つの悲劇を巻き起こしてしまい、ヴェローナ追放に至るまでが描かれるのが後半です。幸せから一転して、悲劇の渦に巻き込まれ暗転していくシーンをダンサーたちがドラマティックな踊りと演技で魅せていきます。
第1場:ジュリエットの部屋
第2場:教会
第3場:ジュリエットの部屋
追放の身となったロミオは、乳母の手引きでジュリエットの部屋で出発前の最後の一夜を過ごす。ジュリエットと結ばれたロミオは、別れを惜しみながら夜明けと共にマンチュアへ旅立つ。
その間にも、パリスとの結婚の話は着々と進められ、キャピュレット夫妻とパリスは、ジュリエットに結婚の確認をとるが、すでにロミオと秘密の結婚をすませているジュリエットは固く拒否する。激怒した父親は、「もし結婚しないのなら家を出て行け」と言い放つ。
幼い頃からジュリエットの良き理解者だった乳母も助けることはできず、一人になったジュリエットは、最後の望みをロレンス修道士に賭け、教会へと走る。
事情を知ったロレンス修道士は、パリスとの結婚を避け、ロミオとの幸せな日々を送るための策として、ジュリエットに仮死状態になる薬を渡す。
部屋に戻ったジュリエットは、パリスとの結婚を承諾し、両親を安心させると、死への恐怖と戦いながらも、再びロミオと逢えることを信じて仮死の薬を飲む。
翌朝、ジュリエットの友人達が結婚の祝いに訪れ、変わり果てたジュリエットの姿を見つける。キャピュレット夫妻もジュリエットの死を確かめると、嘆き悲しむ。
乳母の手引きでジュリエットとの最後の一夜を過ごしたロミオは、追放の身となり一人マンチュアへ旅立つ。
親が決めた結婚を拒否したジュリエットは、教会でロレンス修道士から秘策として仮死状態になる薬をもらう。
薬を飲み、仮死状態のジュリエットを死んだと思いこんだキャピュレット家の面々が嘆き悲しむ。
第2幕では、キャピュレット家の両親が決めた結婚を拒否したジュリエットが、ロレンス修道士の秘策で仮死を装う迄が描かれます。両親が決めた結婚、運命のさだめに抗うように、ロミオと一緒になるために「絶対にこれしかない!」と若さゆえに思い込み悲劇に向かっていく様を、孤軍奮闘するジュリエットと「運命の人々」を演じるダンサーたちが狂言回しのように演じつつ、疾走感たっぷりにエンディングまで展開していきます。
第4場:ヴェローナへの道
第5場:墓場
ジュリエットはキャピュレット家の墓所に葬られ、ジュリエットが死んだという報せがロミオのもとに届けられる。運命のいたずらで、それが仮死の薬を使った計略であることは、伝わらない。絶望したロミオは、ヴェローナに駆けつけ、ジュリエットのもとで毒薬を飲んで息絶える。
仮死の薬から目覚めたジュリエットは、ロミオの姿を見つけて喜ぶが、すでに行き違いとなってしまったことに気づく。「この体をお前の鞘に」とロミオの短剣を胸に突き立て、ロミオの後を追う。
ジュリエットは埋葬され、ジュリエットが死んだ知らせが届くが、秘策だったことはロミオには伝わらない。駆け付けたロミオは毒薬を飲んで息絶え、仮死から目覚めたジュリエットも、ロミオの後を追う。
第2幕エンディングでは、運命のいたずらで仮死の秘策が伝わらず、悲劇の歯車が連動してしまう二人の最期が描かれます。すれ違いの悲劇を生んでしまうはかない衝撃のラストをお見逃しなく。
答え:イタリア
イギリス人が書いたイタリアのお話です。
原作を書いたシェイクスピアはイギリス人。つまり、原作(戯曲)も英語で書かれています。
でも、物語の舞台はイタリアのヴェローナという街。世界地図で見ると分かりますが、ヴェネツィアに近い場所なんですね。
14世紀当時のイタリアと言えば、まだ国になっていなくて都市ごとに分かれて統治されていました(ローマとか、ミラノとか)。それこそ、周辺の国々の影響を受け、揺れに揺れていたワケです。劇作家のシェイクスピアからみれば、「これは面白い題材をみつけた!イギリス人だけど書いちゃおっと♪」といったところでしょうか。現代のハリウッド映画とかでもよくあるパターンです。アメリカ人が歴史上のイギリス人を演じる…とか。
答え:5日
日曜日:二人は出会います。そして、こっそり婚約。
月曜日:二人だけで、これまた秘密に結婚 ⇒ ロミオがヴェローナ追放へ ⇒ 両親が決めたジュリエットの婚礼が木曜に。
火曜日:焦ったジュリエットが、ロレンス神父に「ヘルプミー!」⇒ ロレンス神父は、仮死状態になる薬と秘策を授け、ジュリエットは、信じて薬を飲む。
水曜日:仮死のジュリエットが発見され、そのまま仮死状態で墓地に埋葬される ⇒ ジュリエットの死の悲報を知ったロミオがヴェローナへ慌てて戻ってくる。
木曜日:ロミオ、ジュリエットのお墓で毒薬を飲んで死亡 ⇒ 息を吹き返したジュリエットもロミオの遺体をみて後を追う。
原作には曜日が書かれており、戯曲なので、スピード感ある展開になっています。
答え:6名
物語中の描写では、マキューシオ→ティボルト→パリス→ロミオ→ジュリエットの順で悲劇が起こります。そして舞台上では描かれませんが、後1名この話の中で亡くなる人がいます。なんと!ロミオの母親であるモンタギュー夫人が、ロミオとジュリエットが死んだ翌日に心労で亡くなってしまいます(作品によっては、ティボルトを殺めてしまったロミオの所業を悲しんで亡くなるという説もあるようです)。物語中では2人の死でエンディングを迎えるのですが、その後にこんな事実も隠されており、妻と息子を亡くしたモンタギューは嘆き悲しむシーンもあります……ツライですね。
答え:13歳
イタリアの惚れ男ロミオの年齢は(16~18歳くらい!?)の設定です。このロミオを大好きになって突っ走ってしまうジュリエットは13歳の設定なんですね。
現代で言えば、いくらなんでも若すぎる結婚です。いくらいがみ合ってる家同志といっても許されるワケない!と思ってしまいますが、原作が戯曲であるが故の特性が影響しているという説があります。
1595年頃のグローブ座でシェイクスピアによる戯曲が初演された当時は、舞台人になれるのは男性だけと定められていました。そのため、舞台でジュリエットを演じたのも男性だったと言われています。ただ、女性を演じられるのは、まだ若く幼い美しい少年(青年)に限られたため、つじつまを合わせるためにも、必要以上に若い年齢の設定で描かれたという訳です。
答え:描かれない(語られない)
バレエの舞台では、二人の家が争う理由の説明がほぼないまま展開します。原作の冒頭では軽く説明があり、第1幕第1場でロミオのいるモンタギュー家の人間が、「キャピレット家の人間は女でもブチのめしてやるぜ」と息巻くシーンから始まるので、「なんだかよく分からないけど、凄く憎み合ってるんだな」ということを想像はできるのですが、なんでまた、憎み合っているの?というのは最後まで詳しく語られません。
この14世紀当時は、今でいうドイツにあたる神聖ローマ帝国のフリードリッヒ2世とローマ教皇グレゴリウス9世が宗教的にも、権力的にも激しく対立していました。都市統治のヴェローナはこの二つの側を行ったり来たりしていたので、都市内でも2分派されてたワケです。詳しくは、背景も参考にしてみてくださいね。